みや 青山学院大学3年

この六週間で、五感をフルに使って感じたさまざまな感情・知識・経験は、私にとってかけがえのない財産となりました。
一度目に墓地を訪れた際に受けた衝撃は、今でも鮮明に残っています。子どもたちの無邪気な笑顔とは対照的に、痩せた体や擦り切れた服、傷の多さを目の当たりにし、これまでテレビや写真で見てきた光景が現実として突きつけられ、言葉にできない悲しさを覚えました。

しかし、その後の活動を通して、その印象は大きく変わっていきました。

確かに厳しい環境ではありますが、そこに暮らす人々は、私たちにはない力強さや優しさを持っており、むしろ自分の方が満たされていないのではないかと感じる瞬間もありました。


特に印象的だったのは、人とのつながりの在り方です。六週間を通して、インタビューで最も多く耳にした言葉は「family」でした。

「宝物は何ですか?」という問いに対してそう答えられたときの、言葉の重みと温かさは今でも忘れられません。

当初は、その答えは限られた環境ゆえに出てきたものではないかと考えてしまっていましたが、実
際には彼らにも遊びや外出の機会があることを知り、自分の考えの浅さに気づきました。

限られた収入の中でも子どものために尽くす親と、それを尊敬する子どもの姿を目の前にし、「本当の愛の形」に触れたように感じました。


さらに、日常の中での人々の在り方にも強く心を動かされました。

宿舎に住む方々、観光地やバスの中、スーパーのレジなど、さまざまな場面で出会った見知らぬフィリピンの方々の優しさに何度も触れることができました。

家族や友人に限らず、見知らぬ人同士でも自然と優しさを分け合うその姿に触れ、この国の発展を願うと同時に、この温かい文化がこれからも失われることなく続いてほしいと心から思いました。


さまざまな貧困地域を訪れる中で、「貧困」や「発展」といった言葉だけでは捉えきれない社会の複雑さも実感しました。

外から見れば不自由に見える生活の中にも確かな価値や文化があり、それは経済的な指標だけでは測ることができないものだと感じました。

一方で、教育や医療、生活環境における課題が存在することも事実であり、その両面を理解する難しさも痛感しました。


また、インターンとしてこの活動に参加したこと自体にも大きな意義があったと感じています。

あかりちゃんをはじめ、さまざまなバックグラウンドを持つ日本人の方々と関わる中で、自分にはなかった価値観や視点に触れる機会が多くありました。

同じ景色を見ていても、人によって全く異なる感想や捉え方が生まれることに驚き、振り返りの時間や部屋での対話は、私にとって非常に有意義なものでした。


さらに、六週間という時間をかけて同じ場所を何度も訪れたことで、表面的な印象だけではなく、現地の人々の生活をよりリアルに感じ取ることができました。

同じ地域に住んでいても、家のつくりや体格などから感じられる貧富の差に気づくなど、一度きりの訪問では見えなかった変化や日常の積み重ねに触れることができた点は、インターンならではの貴重な経験だったと感じています。


また、アクティビティを考えることには何度も苦戦しましたが、自分たちで試行錯誤しながら作り上げた活動によって、子どもたちが笑顔を見せてくれたとき、自分が誰かの日常の中に小さな幸せを生み出すことができたのではないかと感じました。

風船ゲームや玉入れといった何気ない活動であっても、その瞬間の笑顔は、私にとってこの六週間の中でも特に心に残る大切な出来事となりました。

クリエイティブなことが苦手な私にとって最も大変な部分でもあり、同時に最も成長を感じられた部分でもありました。
活動の中では、週を重ねるごとに懐いてくれる子どもたち一人ひとりと関わりたい気持ちと、全体を進行する役割の間で葛藤もありましたが、結果として多くの笑顔を生み出すことができたことにやりがいを感じました。


ここまでポジティブな側面について述べてきましたが、現実が厳しいものであることもまた事実です。

痩せた体や、行政からの十分とは言えない支援、そしてカイラが実際に物売りをしていた姿など、さまざまな場面でその現実を実感しました。
そうした光景に触れるたびに、自分の無力さを痛感し、もどかしさを覚えることもありました。

それでも、自分には何もできないという現実もまた事実だと感じました。
しかし一方で、現地に足を運んだからこそ得られた変化もあります。これまでであれば、ただの「雨」としか思わなかったものに対しても、「あの川の上のスラムは大丈夫だろうか」と自然に考えるようになりました。

このように、物事の捉え方や他者への想像力が変化したことは、自分にとって大きな収穫だったと感じています。


これまでの経験を踏まえ、私は「豊かさ」や「幸せ」とは何かについて、改めて深く考えるようになりました。

これまでの私は、物質的な充足や環境の良さを基準に物事を捉えることが多く、それが満たされていない状態をどこか「不幸」に近いものとして無意識に判断していたように思います。

しかし、フィリピンで出会った人々の姿は、その価値観を大きく揺さぶるものでした。
限られた環境の中でも、人とのつながりを大切にし、日々の中に喜びや意味を見出している姿から、「豊かさ」とは単に持っているものの量ではなく、それをどのように感じ取り、誰と分かち合うかによって決まるのではないかと感じるようになりました。


また、今回の経験は自分自身の視点のあり方を見つめ直すきっかけにもなりました。
これまでの私は、無意識のうちに「恵まれている側」から他者を見てしまい、一方向的に理解しようとしていたのではないかと思います。

しかし実際には、彼らの生活の中には私が持っていない価値観や強さがあり、単純に優劣で語ることはできません。

この経験を通して、物事を一面的に判断するのではなく、多角的に捉えることの大切さを学びました。

また、文化も言語も異なる人々と多くの思い出を共有できたことを、とても嬉しく思います。


この六週間で出会った人々の笑顔や言葉、そしてその中で感じた葛藤や気づきは、これから先もずっと自分の中に残り続けると思います。

自分にできることは何なのかを、長期的な視点で見極めていきたいと思います。

2026年2月3月