フィリピンのゴミ山ではスカベンジャーと言われる人たちが毎日、ゴミの回収と分別作業を行っています。
スカベンジャーはゴミ山の中で暮らしている人と近隣から通ってくる人がいますが、一日の大半をゴミ山で作業しています。
そして彼から最も恐れている災害が火災と地震。
セブ島のゴミ山で2013年からボランティア活動を行っているグローリアセブが自然災害の発生原因とその被害について説明します。

ゴミ山火災はなぜ起こるのか
フィリピンにはごみの焼却施設がありませんので家庭から出された生ごみはそのままゴミ山に運ばれます。
何重にも積み上げられた生ごみから発生するメタンガスは外に逃げ場がないのでゴミの中にガスが蓄積されます。
メタンガスだけでも発火や爆発を起こす危険性があるのですが、さらに太陽光がゴミ山に捨てられている乾燥した紙屑や布に引火しメタンガスの発火を誘導してしまいます。
たとえ小さな火災でもゴミ山には消火栓も消火器もありませんし、可燃ごみがたくさんありますのですぐにゴミ山全体に燃え広がってしまいます。
スモーキーマウンテンと呼ばれるフィリピンのゴミ山で、火災や煙が発生する原因の多くは生ごみから出されるメタンガスです。
スカベンジャーはプラスチックがビンなどリサイクルできるゴミを拾い集めていますので彼らにとって生ごみは無用の長物なのですが、ゴミの集積所ですので生ごみはいらないというわけにもいきません。

ゴミ山を崩壊させる台風と地震
フィリピンの雨季は6月から12月です。中でも10月から12月にかけての期間は大きな台風がセブ島やルソン島に上陸することがあります。
グローリアセブが支援しているセブの山の中のゴミ山は周りに風雨を遮るものが一切ありませんので台風が近づくと強風と豪雨がゴミ山を直撃し、ゴミ山の中にあるスカベンジャーの作業所や小さな小屋は崩壊します。
台風情報はスカベンジャーの人たちもチェックしていますので事前に避難しますが、彼らは数週間、仕事ができなくなり収入を失います。
また、地震が発生すれば土砂崩れが起きます。
グローリアセブがゴミ山の中に建設した活動施設も地震による土砂崩れで崩壊しました。
地震は予期できない自然災害ですが、崖の周辺に作業小屋やテントを建てないなどスカベンジャーの人たちはできる範囲での対策をとっています。

自然災害のリスクの中で働くスカベンジャー
フィリピンのゴミ山で働くスカベンジャーは火災と地震という自然災害のリスクをいつも抱えています。
それでも彼らがこの危険地帯を離れない理由は生きていくためです。
スカベンジャーは代々、その仕事をやっている家族が多いため彼らは他の仕事を知りません。
毎日ゴミを拾い、それを売って生計を立てています。
政府は危険なゴミ山をなくそうとしていますが、無動作に積み上げられたゴミを分別しているスカベンジャーの作業は国のリサイクルシステムのひとつであり、また、もしゴミ山を閉鎖すれば多くのスカベンジャーが職を失うという事実もあります。
2020年ごろ、政府からゴミ山閉鎖計画が発表されましたがいまだに状況は変わっていません。
スカベンジャーはリスクを承知のうえで働き、政府は手が出せない。
これがフィリピンのゴミ山の状況です。
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